ヒトという生命システムの背後にある本質や存在の根本原理を理解することを目指して研究を行っています。生命の本質の中心に位置するのが適応です。生命とは、結節点の循環的相互作用の変遷の軌跡として記述できます。適応とは、環境からの情報を結節点の相互連関に関する内部構造の変化として記憶し、未来の環境からの入力に対して新しい出力を示す生命システムのプロセスを示します。ヒトの一生という時間の枠組みの中では、環境情報の記憶はエピジェネティックとして保存されます。そして、このエピジェネティックが刻一刻と変化していくことで引き起こされる内部構造の変化が、身体と脳の一回生の実態といえます。このようなエピジェネティックの変化が宿るのが、組織幹細胞とニューロンです。わたくしの研究目標は、システムバイオロジーと実験生物学を組み合わせて、様々な環境入力に脆弱な幹細胞とニューロンの内部構造を同定することです。本研究により得られる知見は、難治性疾患の新しい治療戦略の策定や、人に関する新しい価値創造に応用できるものと考えています。
Sakurada K, McDonald FM, Shimada F. (2008) Regenerative medicine and stem cell based drug discovery. Angew Chem Int Ed Engl. 47(31):5718-5738.
Masaki H, Ishikawa T, Takahashi S, Okumura M, Sakai N, Haga M, Kominami K, Migita H, McDonald F, Shimada F, Sakurada K. (2008) Heterogeneity of pluripotent marker gene expression in colonies generated in human iPS cell induction culture. Stem Cell Res. 1 (2): 105-115