株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所(代表取締役社長:北野宏明 以下、ソニーCSL)は、クリエーターやアーティストをはじめとする多様な表現者の創造性の加速を支援する取り組みの第三弾として、隈研吾建築都市設計事務所(代表:隈研吾 以下、KKAA)と協働するシステム「Tomonami for KKAA」を開発しました。この「Tomonami for KKAA」を使用した作品を含む隈研吾氏の個展が1月24日よりシンガポールのNew Art Museumにて開催されます。

Tomonami for KKAAでの操作事例
左上にあるスライダーは「ぱらぱら」「つんつん」「すけすけ」等のオノマトペをパラメーターにしている。このスライダーの操作で各オトマノペが調整され(この事例ではドーム状に配置された粒子のふるまいが変化し)感覚的な設計意図を共有可能なビジュアルで示すことができる

Tomonamiはアレクシー・アンドレ研究員による「Creativity Acceleration(創造性の加速)」の研究を通じて創出されたものです。これまで、陶芸作家の吉田幸央氏、友禅作家の四ッ井健氏という個々のアーティストに寄り添う形でシステを構築し、価値を提供してきました。第三弾ではクリエイター間の対話を対象に、建築という新たなフィールドで創造性の加速に挑戦します。

KKAAでは、設計初期から「オノマトペ」という日本語独自の表現を用い、粒子の大きさや流れ、質感など、建築を構成する要素を、所属する建築家間で共有しながら空間を生み出してきました。

今回の「Tomonami for KKAA」では、このオノマトペをパラメータという形で独自開発ソフトウェアのユーザーインターフェースへ反映し、KKAAの建築家達に創造の探索空間を提供します。

建築家達はこの空間をパラメータを操作することで探索します。Tomonamiを使うことで、建築家達は自律的に選択肢を探り、選択肢から芸術感覚、センスで採用可否を評価、判断しながら、短時間にアイディアを創出できるようになります。この創作過程の試行錯誤というサイクルを高速化させるプロセスこそがTomonamiのコアであり、クリエイター自身が想像しえなかった新たな創作につながるものです。

更に、従来のコミュニケーションでは感覚的であり曖昧さのあった設計意図を共有可能なビジュアルへと変換することで、複数の建築家からなる集団がもつ、多様な創造性を引き出すための対話を支援します。

なお、Tomonamiとは、“Tomo”と“nami”​からなる共創の概念を含めた造語であり、テクノロジーを使用する表現者とアレクシー・アンドレが「友(Tomo)」のように近い距離でお互いを理解し合うことで、「波(nami)」のように研究とアートが融合する新たな未来を描いていくことを表現しています。

「KENGO KUMA: MAKERU Architecture — The Ecology of Rhythm and Particle —」

会期       From January 24th until June 14th
会場       New Art Museum Singapore, 39 Keppel Road, #05-03/06 Tanjong Pagar Distripark, Singapore 089065
URL       https://www.newartmuseumsingapore.com/current-exhibition

隈研吾氏のコメント
『KKAAでは、普段から「ぱらぱら」「つんつん」といったオノマトペを使って、コミュニケーションをしながらデザインを進めていきます。オノマトペは人間と物質の開かれた対話を可能にし、建築を身近なものにしてくれます。シンガポールで初の展覧会を開催するにあたり、アジア的な身体感覚に根ざしたプリミティブな言語表現としてオノマトペに着目しました。
Tomonami for KKAAは、オノマトペによって空間がダイナミックに変化する様子を、リアルタイムで確認しながら物質との対話を深めることができる、双方向のプラットフォームです。今回の展示を通して、コミュニケーションの深化による新たな創造の可能性について、皆さんと一緒に探っていきたいと思います。』

隈研吾氏について
1954年生。1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。慶應義塾大学教授、東京大学教授を経て、現在、東京大学特別教授・名誉教授、日本芸術院会員。50を超える国々でプロジェクトが進行中。自然と技術と人間の新しい関係を切り開く建築を提案。主な著書に『隈研吾 オノマトペ 建築 接地性』(エクスナレッジ)、『日本の建築』(岩波新書)、『全仕事』(大和書房)、『点・線・面』(岩波書店)、『負ける建築』(岩波書店)、『自然な建築』、『小さな建築』(岩波新書)、他多数。

アレクシ-・アンドレ研究員のコメント
『今回第三弾となるTomonamiは、集団の対話から生まれる創造性を可視化し、建築における思考と創造のプロセスそのものを拡張することを目指しています。KKAAのクリエーションプロセスにTomonamiが入ることで、従来の建築とどのような変化が生まれるのか、とても意義のある取り組みだと感じています。Tomonamiを通じて、異なる視点が交わることで生まれる新しい発想を支援し、創造の未来をさらに切り拓いていきたいと考えています。』

アレクシ-・アンドレ研究員について
2009年よりソニーコンピュータサイエンス研究所リサーチャー。最新のデジタルメディアを応用することで、これまでにない創作活動を探求しており、自身もジェネレーティブ アーティストとして活動している。研究成果は山口情報芸術センターYCAMおよびアメリカのCG関連学会SIGGRAPHでも展示され、オープンリール・アンサンブルから三宅一生プロデュースの青森大学男子新体操部に至るまで、数々のアーティストらとコラボを行っている。ソニーの体験型トイ・プラットフォームtoioの発案者でもある。現在はソニーコンピュータサイエンス研究所 – パリにて活動中。


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