西陣織の伝統に最先端のテクノロジーを取り入れることで新たな製造手法や工程の改善に挑戦しています。織物ができるまでには、図案作成、紋紙作成、糸染め、製織など多くの製造工程があります。
その第一歩として、文字入力から画像を生成する人工知能を用いて作成したデザインをもとに西陣織の織物を試作しています。近年、拡散モデルに基づいた画像生成モデルが注目を集めています。私たちはこれらを西陣織の制作に応用するため、必要に応じて既存の有職文様を用いた追加学習を行い、新たな織物の柄を生成しました。
またその過程において、新たな柄デザインをジャガード機で織れるように画像加工する段階で必要となる単調な繰り返し作業に多くの時間が掛かっていることが判ったため、デザイナーのクリエイティビティを活かしつつ、作業を省力化するツールを開発しました。
今後とも伝統技術と最先端のテクノロジーとの融合のあり方を模索していきます。
和柄模様の認識及び生成
メンバー:足立 旭(学生研究員)、ラナ シナパヤ、暦本 純一
和柄模様を人工知能を用いて認識及び生成する技術を開発しています。日本では古来より和柄模様が着物や浴衣といった衣服や建築物の内装などに用いられてきました。本プロジェクトでは、そうした伝統的かつ歴史的な模様である和柄模様に注目し、文化とテクノロジーの融合のあり方を議論する機会としています。
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Nishijin NCA-京都の伝統的な織物産業を支援するデザインツール
メンバー:足立 旭(学生研究員)、ラナ シナパヤ
織物生地のデザイン案を職人が修正する際に実施する様々な取捨選択を、ニューラルネットワークが学習し、それらを画像全体に適用することにより、色の削減や形状の修正といった単調な繰り返し作業を大幅に削減することを実現します。Nishijin NCAでは、既存のデータセットで事前トレーニングを行う必要はなく、元の画像と修正された画像がそれぞれ1つずつあれば学習が可能です。これにより、織り上げたときに美しく見える柄や模様のデザイン作成に職人がより集中できることを実現します。