Paris
Tomonami ™
「Tomonami」はアレクシー・アンドレ研究員が行っているCreativity Acceleration(創造性の加速)の研究からうまれたシステムです。
人々が創造性を高める方法を模索する中で、アレクシー・アンドレ研究員は創造性は二つの要素で説明できるのではないかという仮説を立てました。一つは新しいアイディアを考えつく力であり、もう一つはそれらを評価できる力です。Tomonamiはこれら能力の醸成をテクノロジーにより加速させることができるのではないかという着眼から開発されました。

「Tomonami」の開発は、アレクシー・アンドレ研究員が自身もアーティストである経験を活かしながら、アーティストとの対話を通じて創造性を理解するところから始まります。対象とするアーティストがこれまでに制作した作品から表現の特長を独自に抽出し、そのアーティストにとって意味のあるイメージを生成するためのオリジナルのルールをパラメータという形で独自開発のソフトウェアによるユーザーインターフェースに反映し、アーティストに創造性の探索空間を提供します。

アーティストはこの空間をパラメータを操作することで探索します。パラメータを操作する過程でその意味を理解し、制御することで自律的にイメージ、すなわちアイディアを生成します。短時間にアイディアを創出できるようになり(自律的に選択肢を作り)、それらが自身にとって良いものか否かを評価、判断します。この創作過程を試行錯誤するというサイクルを高速化させるプロセスこそが「Tomonami」のコアであり、アーティスト自身が想像しえなかった新たな創作につながります。

Tomonamiを通じて、アーティストが新たな作品製作の基となる新たな創造性を獲得することを目指しています。
なお、Tomonamiとは、“Tomo”と“nami”からなる共創の概念を含めた造語であり、テクノロジーを使用する表現者とアレクシー・アンドレが「友(Tomo)」のように近い距離でお互いを理解し合うことで、「波(nami)」のように研究とアートが融合する新たな未来を描いていくことを表現しています。
取り組み事例
Tomonamiは、分野の異なるクリエイターとの協働を通じて開発・展開されています。以下では、これまでに取り組んできた事例をご紹介します。
陶芸作家 吉田幸央氏との取り組み
現在、陶芸作家の𠮷田幸央氏は、𠮷田氏専用にアレクシー・アンドレが開発したTomonami for Yoshita Yukioを用いて作品製作に取り組まれています。(2023年11月 プレスリリース)

𠮷田幸央氏略歴

Tomonami for Yoshita Yukio の操作画面
Tomonamiには市販の設計ツールにあるような細やかな調整自由度は存在しません。これは、Tomonamiはあくまでも創造プロセスを支えるためのものであり、設計のためのツールではないという考えによるものです。よって生成されるイメージは製作プロセス上の制約を考慮したものではありません。
これは、実際の𠮷田氏の制作過程や、以下のコメントにも表れています。
「Tomonamiに示されるイメージが、必ずしもそのまま作品に落とし込むことができるとは限らないことはわかっていた。Tomonamiに背中を押されつつも、これまでの経験に基づく解釈を織り交ぜることで実は頭の中では、生成されたイメージと異なるイメージを見ていた」。

友禅作家 四ツ井健氏との取り組み
友禅作家の四ツ井健氏は、「Tomonami for Ken Yotsui」を用いて作品製作に取り組まれています。


Tomonamiを活用して制作した作品 / Tomonami操作画面
2024年1月に銀座もとじで行われた個展では、美しく着るために必要な模様の連続性と、制作上の制約となる模様の連続性の両立をいかにして具現化するかという四ツ井氏の検討課題への対応がTomonamiにより加速され、そこで見出された新たな表現の可能性を持つ作品を展示しました。(2024年1月 プレスリリース)
隈研吾建築都市設計事務所との取り組み
隈研吾建築都市設計事務所とは、「Tomonami for KKAA」を用いた協働検討を行っています。(2026年1月 プレスリリース)
これまで、陶芸作家の吉田幸央氏、友禅作家の四ッ井健氏という個々のアーティストに寄り添う形でシステムを構築し、価値を提供してきました。第三弾ではクリエイター間の対話を対象に、建築という新たなフィールドで創造性の加速に挑戦します。
KKAAでは、設計初期から「オノマトペ」という日本語独自の表現を用い、粒子の大きさや流れ、質感など、建築を構成する要素を、所属する建築家間で共有しながら空間を生み出してきました。
今回の「Tomonami for KKAA」では、このオノマトペをパラメータという形で独自開発ソフトウェアのユーザーインターフェースへ反映し、KKAAの建築家達に創造の探索空間を提供します。
建築家達はこの空間をパラメータを操作することで探索します。Tomonamiを使うことで、建築家達は自律的に選択肢を探り、選択肢から芸術感覚、センスで採用可否を評価、判断しながら、短時間にアイディアを創出できるようになります。この創作過程の試行錯誤というサイクルを高速化させるプロセスこそがTomonamiのコアであり、クリエイター自身が想像しえなかった新たな創作につながるものです。
更に、従来のコミュニケーションでは感覚的であり曖昧さのあった設計意図を共有可能なビジュアルへと変換することで、複数の建築家からなる集団がもつ、多様な創造性を引き出すための対話を支援します。
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